2012/05/13 (日) つかさ

















晴れ。
子どものとき。
近くの古いアパートに住んでいるおじさんのお家には、
「1号さん」「2号さん」が通っているとゆう話を聞いて、
すーげー!秘密結社だ、と思って尊敬していたので、
話しかけられると妙に緊張してしまったのだった。
それでもよく、裏庭の縁側でお煎餅もらったりして、
そのことが母に知れると怒られるので黙っていたが、
姉が自分のことを3号さんとからかったので、
「?」となったりした。
あるとき、知らない女のひとが「ぼく、これほしい?」
と照れくさそうにキューピー人形と折り紙をさしだした。
照れくさそうに、うん、と言ってもらったあとで、
姉が、どこでもらってきたん?と言うので、
なんか、そこで、と言うと、1号さんか2号さんだ、
と言った。
1号さんか2号さんの人形になにかいろいろ「女の子」を感じ、
恥ずかしくなったので引き出しの奥の奥の奥ぐらいにしまった。
小さいとき母に買ってもらったアイスの袋が捨てられずにいて、
それの理由は胸にしまって、それの横に秘密の人形をかくした。
なんとなく、1号さん2号さんが大人なことと気づき、
けれどその後お人形さんをくれたひとを見たことがなく、
おじさんがしばらくし山奥で死んじゃったことを聞いた。
放課後を歩いて、ちらと見るとそのおじさんの部屋から、
知らない女のひとが出てきた、きっと1号さんだと思った。
だから自分がもらった人形は2号さんのなんだとも思った。
あとで、折り紙で紙ひこうきをたくさん持っていくと、
そこはすっかりともぬけの殻になり薄暗くなっていた。
縁側にあったいくつかの地味な植木まで綺麗になくなっていた。
誰ひとりいなくなった。
2階建てアパートの、1階の北側の角部屋のお家。
_
また別の家に住んでいた林さんの家は変な間取りだった。
街道沿いのテーラーと製材所の間っこの小さな一軒家で、
玄関を入ると右手にいきなりお風呂があった。
タニシ捕まえようとして頭からどぶ川に落っこちてしまい、
一緒にいた友だちとなぜか一緒に泣きながらいると、
林さんが、うちで流していきな、と、お風呂を借りて、
そのあと林さんはビールを飲みながらテレビを観ていて、
なんでか自分はとたんにすやすや寝てしまった。
起きると自分にタオルケットと新聞紙がかけられ、
(なんで新聞紙かけたんだろう…)と思いながらも、
我にかえり、裏口から家まで、細い路地を歩いた。
今になって思えば10メートル足らずで家だった気がする。
そんなことがあった。
しばらく林さんと会うこともなくいたら、林さんが引っ越す、
とゆうことで前に1号さんか2号さんが人形をくれた場所と、
ちょうどおんなじところで「ぼくー、」話しかけられた。
アパートも林さん家も見える石垣のボタンの庭。
「音楽が好きでしょ?」と、どこ情報なのだか云われ、
ギターとCDをもらった、CDは山下達郎のmelodiesとか。
ギターなんか弾いたことないので、どこ持てばいいやら、
でも、ありがとう、と云い、じゃあね、と云い、それきり。
後日、林さんが引っ越していった家を壊すとのことで、
なんでだったか母とそこへ寄ることになった。
玄関の戸を開けると、母が「急にお風呂があるね」と云い、
中はなにもなく、もともとなにもなかった気がするけど、
一応どぶに落っこちた日のことは内緒にしているので、
生まれてはじめて入ったような顔をして、裏口を眺めた。
陽が落ちた林さん家は暗くて、表にも裏にも、
ケイトウの葉がふらふらとしていた。
路地のなかはいつも切り干し大根みたいな匂いがする、
そう漠然と思っていたけど、なんとも言えない匂いだった。
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林さんにもらった生まれてはじめてのアコギのあと、
順番は曖昧だけれど、同じ時期に同じように、
また別のアコギをもらって弾けないギターが2台、
まるで部屋は1号さん2号さんみたいになった。

日曜日。
友だちの家に寄って、公園を散歩したりした。
うだうだしゃべっていると薪でも割るように、
「ももクロのDVDちょっと観ますか」と云い、
そのまま見出したら結局みんな観てしまった。
DVDのなかライブの序盤に戦隊ものみたいな寸劇があり、
それで歌と踊りがはじまったのだが、1号さん2号さん、
みたいな自分のなかの(未だよくは知らない)それは、
ヘルメットを脱いで汗だくで歌って踊りだしていた。
その友だちの家に、例の元・林さんのギターはあり、
自分のはじめてのギターとゆうとあれだけどあげて、
それを抱え、半額弁当を食べ終え、画面は夏物の夕暮れ、
ふと考えれば、そのなにもかもが春だったこと思い出した。
同じことを何度も話しデパートの中を歩くみたい草臥れた。
公園や自転車道で犬を散歩させているひとや川が眩しかった。
曲がったままの勾玉の月の日。
月桂樹の葉蔭をした朱の飛石。
風も暖かだった羽毛の日曜日。

など聴く。
黄色いお店でmy bloody ValentineのEP's、
半額コーナーからJohnny BristolのBristol's Creme、
Asylum Choirのアンソロジー、monksのベスト買う。
たぶんmonksを単体で買ったのはじめてな気がする。
明るいお店に急に緊張をしたりし咽が渇いた。
洋燈を灯した部屋にいながら煙まで吐く積り。
「日本の私鉄6 営団地下鉄」読む。
脳内pod 伊東きよ子 星からの便り
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